よい街コラム

土地の品質

日本人の方は特に物の品質に対してはこだわりが強いようです。しかし土地の品質については、あまりうるさく言われません。それは他人が所有していたのを売買する仲介物件が多いからかもしれません。新たに分譲地として土地を作る場合はどうでしょう?当然ですが作る側とすれば、品質にこだわらなければならないと考えます。分譲地の品質ってなんでしょう?そのほとんどが出来上がってしまうと見えなくなります。目に見えるのは、道路と仕上げの土、あとは構造物くらいでしょうか。建物も出来上がってしまうと仕上げの精度しかわからないのと同じですよね。分譲地の品質とは、地盤・ハザード対策・構造物の精度 強度・盛土の土質 転圧・各宅地の寸法・道路の精度等ではないでしょうか?

地盤①

 地盤って難しいなぁと感じます。まずは昔をたどっていかなければなりません。まず字名を確認します。そして地図を見て全体的な地形と地層を確認します。現場ではブロック塀や家の傾きやひび割れを確認します。そういえば、今の事務所のある所は昔は河川だったようです。
 川がどのように流れているかはとても重視します。中学校の時、三角州や扇状地、後背湿地とか習ったような気がします。
 川の流れで葉っぱとか泥は軽いので、氾濫の際、海の近くまで流れ着き自然堤防を越えて川の近くで溜まります。それが粘土になって堆積してしまいます。このような土地は多いのですが、それが皮肉にも地価の比較的高い人気の場所であることもあります。
 そして必ず地盤調査を計画段階で入れます。経験的にわかっていても入れます。その調査をもとに土の奥深くを想像するしかないです。
調査票で最初に見る項目は、水位です。水は人間になくてはならないものですが、逆に非常に怖いです。山の麓などでは、地下水の道がありますので、これを無視して造成すると大変な事になります。                                       平地でも水位が高くて、その水の中に粘土層らしきものが混じっておりしかも深ければ、これは造成でどうしようもありません。
建築において杭を打つなりの基礎補強するしかありません。

 

地盤②

 建築会社も地盤保証会社も一番恐れるのは、圧密沈下ではないでしょうか?ピサの斜塔が代表例ですね。簡単に言うと漬物ですね。野菜を入れて漬物石を置くと野菜の水が抜けて下がっていきます。その後漬物石を外しても野菜は水が抜けて沈んだままです。
 また雨上がりに運動会で足踏みしていると水がじわじわ浮き出てくるのが圧密沈下です。

 載荷盛土という工法がありますが、漬物と同じで、土を置いてあらかじめ沈下させる工法です。道路を作るのにずーっと土を積んで置きっぱなしにしているのをたまに見かけますが、あれは載荷盛土という工法ではないかと思います。安上りですからね。
 住宅に携わっているとき、水位が高く地下に粘土層があり、ボーリングでサンプルを取り出し、圧縮試験をして、2週間で沈下が収束する結果が出て、家の重さ以上の土を置いて沈下観測すると、確かに10日くらいで収束しました。これで家の基礎補強をしなくていいと思ったら、やはり基礎を考えるときは、せん断やすべりとかも検討しなければならず、結局すべて鋼管杭を打つことになり、
「今まで何しとったんだぁ。あほくさ。。」という経験もあります。本当に地盤は難しいです。

地盤③

 造成中に下水道や防火水槽の施工の際は、深く掘り起こしますので、地盤の層が見れます。それを見てあらかじめ検査した地盤調査と照合します。思った通りの地盤もあれば、ちょっと思っていた感じと違うな、というのもたまにあります。
 分譲地で1000㎡以上の広さですと、盛土の際、30cm間隔で転圧しなければなりません。いつも重機に乗って作業をしている人に聞きます。「どう?強い?」。地盤調査も大切ですが、実際に重機に乗っている人に聞くのは信頼性が高いと思います。柔らかい粘土層があると、重機に乗っていても、フワフワします。
 家の基礎は大体地盤面より30cmより下が支持層になりますので、盛り土の際はそこまでは必ず購入した閉まる土を入れるのを原則にしています。どこかの工事で出た残土を入れると、安いし、仕上げれば見た目にはわかりませんが、いろんな土が混ざると家の不同沈下の原因になります。どうしても入れさせてくれと言われたら、家の支持に関係しない最後の仕上げに入れ、どこから運んできたかの産地証明を必ず発行してもらうようにしています。

地盤④

 三重県は比較的地盤は強いように感じますが、佐賀県などは20m程鋼管杭を打つ所が多いように聞いたことがあります。
 他県の話ですが、7m程の杭を打たないといけないのは判っており、しかも湧き水がすぐ上から流れてきます。
「伏流水かぁ、どうしよう?」とか話しながら、これでは完成しても敷地が、湿気ですごいことになります。
 おまけに近隣住民のヒアリングで、この附近は炭鉱の坑道があったことも判りました。ご年配の方にどこに入り口があって、どう走っていたか聞きに廻ったのを記憶しています。疲れてフラフラになってしまい、技術者は「もうやめようかぁ」などと言ってましたが、「諦めたらあかん!」と言って、最終的に色々対策してお金は掛かりましたが、完成させました。
 ちなみに諦めなかった理由は、所有者が三重県在住の方で、交渉のたびに会社の出張費で家に帰れたという非常にセコイ話です。

 その近辺はさすがに不動産業者も充分わかっており、自ら分譲する際は、土地全体を50cmの厚さで表層改良して売るのが通例になっています。家は杭で沈まなくてもブロック塀や門が傾いてきますもんね。

消えゆく塀

塀と言えば武家屋敷が象徴的ですが、その地位を誇示する為だったのでしょうか?名残なのか塀と門扉は一昔前は必ず作ったものです。
 田園調布と言えば有名な一等地ですが、ものすごく高い塀が多く大体は身長程度あり、中には垣根と合わせると人の3倍以上もあるところもあります。たとえ中で庭に水を撒いていても道路からは何も見えません。インナーガレージも多く、一体近隣のコミュニティってどうなっているのでしょうか?豪邸が多く緑化され、確かにすごい街ですが、私にとっては塀と垣根のおかげで閉鎖された街のイメージが強いですね。
大阪北部地震でブロック塀が倒れ悲しい事故があって以来、6段を超えるのブロック塀はその高さを下げるような指導があります。もう少し時が経てば塀や門扉・垣根といったものは古い団地の象徴となっていくのではないでしょうか。ところでなぜ門扉なんて作ったのでしょうね?荷物持っていれば開け閉めが面倒なだけなのですが。
 ある漁業の町に行くと1件も鍵をかけている家はありません。インターホンなんてものもありません。「私を見たら皆さんよそ者とわかりますか?」と尋ねると「そりゃすぐわかる」と返ってきました。その家が留守でもみんなが見ているので、窃盗事件なんてないらしいです。確かに道路が碁盤の目になっているので、どこを曲がっても誰かに見られます。よそ者と見極められているからには、「不審者じゃありませんよ」との気持ちを込めてたとえ離れていても会釈するしかないです。なにか考えさせられますね。
防犯とプライバシーとコミュニケーションのバランスが大切なのでしょうね。

日本人は忙しいから。。。

40年ほど前は夫婦共働き世帯が3割強だったのが、今では7割近くになっているそうです。ですから家庭では毎日が忙しいですよね。そうする中、あれよあれよという間に家族は成長していきます。1年経つのも年々短く感じてきます。
 私が小学校入学の際、親がイチジクの木を記念樹として植えてくれたのを記憶しています。実のなる木はあまり庭に植えるのは縁起が良くないと言われるので、なんでイチジクだったんだろうと今でも思いますが。こうした家族の記念日に木を植えられるのもいいですよね。
 でも共働きですと平日は忙しいし、休日は家庭サービスしたいですから、こうした樹木や草花を手入れする暇があまりないのではないでしょうか?ただ、あまり手が掛からない樹木・草花があればいいですよね。「あれっ もう一年経ったんだぁ」とあまり手を掛けずに時の経過を知らせてくれるような街づくりを考えています。

他県の洪水対策

前職のおかげで、全国の色々な所で仕事をさせていただきました。関東のある街(県庁所在地)では、雨どいが地面の手前で切れていて道路側溝までの排水管がありません。最初それを見たとき「未施工やな?」と思わず口走りましたが、その行政では全てそういった指導をしているそうです。屋根に降った雨は全て地面に浸透させるのです。大雨が降れば地面には水が溢れ、庭が水浸しになります。しかし住民はそれが当たり前になっていて何の文句もありません。
 私共は団地を開発しそのおかげで周辺の保水能力が失われます。しかし反面、税収が増え行政は潤います。その増えた税収でさらにインフラ整備をして民間投資を誘発させるという好循環にもっていくべきですが、このインフラ整備が現状全く追い付いていないように思います。
 これも他県の話ですが、団地を造ろうとしていた時、その下流の溝が溢れているのでその行政の水利管理者に呼ばれました。管理者と管理職3人がいる部屋に通され、管理者より「頼むから2区画を2年間池にしておいてくれないか」と言われ了承しました。そのあと管理者が管理職3人に対してもう一本溝を作るために「お前らクネクネでも何でもいいからとにかく今日から買収してこい!絶対にもう一本2年の間に通せ!」と檄を飛ばしてびっくりした思い出があります。民間投資に対して行政がしっかり応えて動く。
こういった強い指導力を持った行政であってほしいものです。

豪雨

 大雨が降り警報が出ると、ついつい出かけて浸水場所の近くまで行きます。なぜこの場所は浸水するのかとか、自分なりに分析し、今後に生かそうと、ない頭をひねっています。水害が全国ニュースになると、他県の知人から心配して「大丈夫ですか?」とメールも頂きます。「今見に来ているけど、ひょっととしたら私の車が水没しているのがニュースになるかも知れないのでNHKをしっかり見ておいて!」とメールを送り返しながら、昨年は危うく本当にそうなるところでした。
治水は、行政の大切な仕事です。しかしながら「この川はナイル川?」と行政に行き質問をぶつけたります。国をまたいで流れるナイル川は水を守るため、国同士がぶつかります。それに比べ日本は国内だけを流れる川でも自己の行政区内でなんとかしようとしています。河川でもここからここまでは県の管理、その先は市の管理などと分かれています。治水とは流域全体で考えるべきものではないのかな?と疑問を感じてしまいます。

グーグルマップ

最近は、そこに行かなくてもある程度パソコンで旅ができます。ニューヨークでは、中心地からわずか2Kmくらいで住宅街が広がります。しかも各敷地150坪程度はあります。さらに郊外に行くと、玉城町で手掛けた21区画分の土地が一つの敷地の分譲地もあります。しかも庭がものすごく綺麗です。グーグルで旅すると時間がすぐに経っていきます。
ゴルフ場のコースとコースの間に別荘ではなくきちんとした住宅団地があり、ゴルフ場と住宅団地が一体化している所、また湖を一部埋め立て、周りと埋立地を住宅団地として、各戸から釣りでもするのでしょうか?すべて桟橋が伸びている所、各戸にプールがあり(そのプールがまた綺麗)視界を遮る大きな樹木で囲われた所、まあ発想が豊かで悔しいですが恐れ入ります。しかも道路は日本の開発団地の約2倍の幅が必ずあり、両端に路上駐車しても真ん中は十分すれ違い出来ます。また庭がすべて綺麗です。面白いのは、南側の日当たりを全く意識していないという事です。南側にほとんど窓のない家もあります。日当たりより街路の景観を優先しているようです。ただ道路のアスファルトから白線が消え、アスファルトはヒビ割れがすごく多いですね。下地の路盤をしっかり施工していないのでしょうか?日本では農道以外あまり見受けられない光景です。皆さんも一度グーグルで旅してみてはいかがですか?